BIOGRAPHY
 カルフォルニアが生んだアメリカンロックバンド、NIGHT RANGER(ナイトレンジャー、以下NR)。
 彼らはライブバンドでありながら、チャートも席巻するという80年代に全盛を極めたハードロックバンドの先駆けとなったバンドであった。2人の異なる特徴をもつギターヒーローを擁し、またボーカルはベース、ドラムが兼任するというバンド体系もまた特異なものだった。彼らのようなバンドを他に挙げることができるだろうか?しかし、そんな彼らの歴史は、レコード会社と、そして誤解されたイメージとの戦いでもあったのだった・・・
 バンドの母体はルビコンというバンドで、Jack Blades(ジャック・ブレイズ)とBrad Gillis(ブラッド・ギルス)が在籍していた。そしてバンドの末期に、Kelly keagy(ケリー・ケイギー)も参加。バンド解散後、3人が新たに組んだバンドにAlan Fitzgerald(アラン・"フィッツ"ジェラルド)そしてJeff Watson(ジェフ・ワトソン)が加わりNR結成となった。
 地元ベイエリアで地道なライブ活動を繰り返し、ついに82年ファーストアルバム「DAWN PATROL」で念願のアルバムデビュー。名曲"DON'T TELL ME YOU LOVE ME"などで炸裂するツインギターバトルとともにまずは日本で人気が出たのであった。
 そして83年待望の日本初来日の後、セカンドアルバム「MIDNIGHT MADNESS」でついにアメリカでもブレイク。バラード"SISTER CHRISTIAN"がチャートを駆け上がったのだった(全米5位)。それからはライブもヘッドライナーとなり、2枚目のシングル"WHEN YOU CLOSE YOUR EYES"のヒット(14位)も手伝ってアルバムは全米200万枚のセールスを記録したのだった。
 前作の成功によりアリーナバンドとなり、注目の中サードアルバム「SEVEN WISHES」リリース(85年)。このアルバムからも"SENTIMENTAL STREET(8位)"、"FOR IN THE MORNING(19位)"、"GOODBYE(17位)"の3枚のヒットシングルが生まれる。しかし好調なチャートアクションとは裏腹に、初期のハードなサウンドを好むファン離れが進んだのもこのアルバム辺りからであった。カットするシングルがどれもバラードやポップな曲(どれも素晴らしい楽曲だったが)ばかりだったのが初期からのファンの誤解を生んでしまったのだった。そして次のアルバムからのファーストシングルでそれは決定的となる・・・
 映画「摩天楼はバラ色に」の主題歌となったシングル「THE SECRET OF MY SUCCESS」は、大胆なシンセサイザーの導入、そして売れっ子プロデューサー、デビット・フォスターの起用により、NRがまるで違うバンドになってしまったかのような激変ぶりを感じさせる曲となってしまったのだった。そしてアルバム「THE BIG LIFE」発売(87年)しかし相変わらず切るシングルはバラード・・・。このヒットねらいにより、逆にバンドにとって致命傷となる偏ったイメージを持たれてしまう事になってしまったのだった。
 危機を感じたバンドはここで心機一転、無駄な装飾を除き初期のサウンドを目指してアルバム製作に入る。この間にアラン"フィッツ"が脱退してしまうという事件も起きたが、NRはアルバムを作り上げる。このアルバム「MAN IN MOTION」によりイメージ回復といきたかったところだったが、ヒットを望むレコード会社の命令でまたもやバラードを追加させられることに。88年にアルバムはリリースされるが、やはりシングルカットはバラード。レコード会社はヒットを望みバラードを強要するが、ファンはそれに悪いイメージを抱き離れていく、という悪循環に入ってしまったバンドはそのまま空中分解してしまうのであった。
 解散後、ジャックは新しいバンドDAMN YANKEESを結成し第2の栄華を手にする。他のメンバーもそれぞれの活動を行っていた。
 そして時はずいぶんと経ち96年、世は再結成ブーム。その中でNRもオリジナルメンバーで再結成し来日、往年どうりの熱いライブを見せてくれた。そしてそれから1年後、アルバム「NEVERLAND」(97年)で復活を果たした。来日公演も大盛況。
 そして98年にもアルバム「SEVEN」をリリースして来日も果たす。
そして・・・

L to R:
Brad Gillis−Guitars,Background Vocals
Alan "Fitz" Gerald−Keyboards
Jack Blades−Bass,Lead Vocals
Kelly Keagy−Drums,Lead Vocals
Jeff Watson−Guitars